コラム

[2013/07/01] 第60回 故郷に寄せる思い

田んぼのある村

先日、気象庁は関東甲信地方の平年より10日早い梅雨入りを発表したが、降水量は全国的に平年を大幅に下回っているようだ。このコラムが掲載される頃、東北地方も梅雨の真っただ中で、沖縄地方だけが梅雨明けしていることだろう。

最近、生まれ育った土地で暮らしていた10代の頃のことをときどき思い出す。いま住んでいる土地で暮らしていく気持ちが薄れてきたからかもしれない。 2年前、故郷が被災したことがきっかけかもしれない。


ワールドカップ誘致!?

昨年のことであるが、インターネット上で、自分の故郷を題材にした復興ドキュメントの書籍が目に留まり、書店で購入した。書籍の中で「2019年ラグビーワールドカップ開催地の招致」について取り上げられていた。

ラグビーワールドカップは知名度こそ低いが、オリンピック、サッカーワールドカップに次いで、世界 3番目の規模を誇り、1987年から開催されている。

招致の文面を目にしたときはマクドナルドもスタバもない岩手県沿岸部の田舎町が招致など有り得ないと思った。しかし現在、市のホームページをみると誘致推進室が設置され、誘致に向けた取組が掲載されている。

優先すべきこと

スタジアム建設の資金調達、土地確保、宿泊施設や飲食店の不足など、誘致に向けた課題は多い。また、アクセスの悪さも気になる。東京からは新幹線で 3時間、在来線に乗り換えてから 2時間かかる。そして、何より気になるのは被災して今なお仮設住宅で暮らしている人たちの感情。“スタジアム建設よりも優先すべき事があるではないか!”という声が聞こえてきそうである。

自分が仮設住宅で暮らしている身なら、市営住宅の建設、衣料品店の充実、設置されなくなった場所への信号機の再設置などを優先してほしいと思う。やはり優先すべきは市民の生活安定ではないだろうか。

梅雨が終わると暑い夏がやって来る。 2年前の震災直後に安否確認したことがきっかけで、夏になると高校時代の仲間たちと顔を合わせるようになった。今年で 3回目。はるか昔、甲子園出場を夢見た仲間たちと朝まで語り合いたい。<m.k>


コラム一覧はこちら