コラム

[2012/06/01] 第47回 ソーシャルメディアについて考える

ソーシャルメディア

ソーシャルメディアとは、IT用語辞典 e-Words によると、
『インターネット上で展開される情報メディアのあり方で、個人による情報発信や個人間のコミュニケーション、人の結びつきを利用した情報流通などといった社会的な要素を含んだメディアのこと。』
を意味する。

今回、このソーシャルメディアについてメリットやデメリットを考えてみたい。


メリット

メリットには以下3点が考えられる。

【誰でも情報を発信できる】
 これはマスコミが扱わないような超局所的で対象範囲の狭い情報から、政治的な判断等でマスコミには報道されない情報等を、個人がソーシャルメディアを通して発信・受信することが可能であることを意味する

【リアルタイム性】
 発信者からの情報が時間差無く受信者へ届けられることで、情報とタイミングを共有することができる。

【情報展開の容易さ】
 ソーシャルメディアでは文字(文章)や画像がデータとして展開される。これはつまり、それらの情報を簡単にコピー&ペーストで展開することが出来るということである。また、TwitterやFacebookではボタン一つで情報を他のユーザーに展開することができる。これら展開の容易さは上に挙げたソーシャルメディアのリアルタイム性にも一役買っていると言えるだろう。

これらのメリットがどのようなことにつながったか例を挙げてみる。

2010年にチュニジアで起きたジャスミン革命では、反政府デモが国内全土に広がり23年間続いた政権が崩壊しているが、この反政府デモの情報共有・展開および動員にはFacebookが大きな役割を担ったと言われている。

また、東日本大震災の際には猪瀬直樹東京都副知事がTwitter・Facebookを使って避難場所や最新の地下鉄運行再開情報を帰宅難民者と呼ばれる方たちへ流し続けていたことも記憶に新しい。
これは東京都のホームページにアクセスが集中しパンクしたための措置であったが、このTwitter・Facebook情報の受信者が新たな発信者となり避難場所等の情報を広めることが出来た。

さらに私自身のことではあるが、震災の際にはTwitterの情報を元に食料品やガソリンを入手した。これも発信者からの「○○売ってました!」等の情報をタイミングよくキャッチできたおかげだと考える。

デメリット

次にデメリットについて考えてみる。

【デマ情報】
 これが最も大きいデメリットであると考える。前述した3つのメリットにデマ情報が合わさると、簡単にデマ情報が即時に展開されかねない。

東日本大震災の時のことだが、ある中学校が外国人の集団に押し入られ、占拠されてしまったという情報がTwitter上でまことしやかに流れた。この情報を真に受けた人が「今から○○中学校を奪回に行くので手伝ってくれ」といった情報を展開し、騒ぎはさらに拡大していった。その後すぐにその中学校への避難者からデマ情報であることが展開され大事には至ることは無かったが、震災直後のナーバスな状態と相まって、大変危険な状態だったといえる。

【誹謗中傷】
 デマ情報は論外としても、「○○って会社はサポートが悪かった!」等の発信者の主観的な考えで、企業のイメージが下げられてしまうことも考えられる。

受信者から発信者へ

以上、簡単にではあるが、ソーシャルメディアのメリット・デメリットを考えてみた。

今回、なぜこのようなことを考えたかというと、『決断する力』(猪瀬直樹著 PHPビジネス新書)を読み、触発されたからだ。この本の中で猪瀬副知事は次のように述べている。

「いざというときに役に立つのは、普段から使い慣れたものである。今回の震災でツイッターが役に立ったのも、僕自身が毎日使っていたからで、震災が発生してからツイッターをはじめようと思っても、使いこなすまでには相当の時間がかかっただろう。それでは当日の混乱をさばききれなかった」

これに共感を受けたためである。
私自身もTwitterを利用しているが、ほとんどが情報収集(新書・イベント・ニュース)であり、発信側に立つことは殆どない。今後は情報の受信だけでなく、発信(展開)も積極的に実施していきたいと考える。

そのためには、受信した情報を何でも鵜呑みにしないよう、それが正しい情報かどうかを自分自身で判断する力を持たなければならない。また、自分が情報展開者となる際にはデマ情報を展開しないよう、さらなる注意が必要であると考える。 <h.o>


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