コラム

[2011/12/05] 第41回 個性とはなんだろう

集団の一人

先日、新聞のコラムに女子テニス界でサーブやラリーの際の絶叫が論議を呼んでいると書かれていた。ロシアのシャラポワ選手(世界ランク 4位)の「悲鳴」とベラルーシのアザレンカ選手(同 3位)の「遠吠え」が有名だという。その絶叫が意図的だとクレームをつけたのはデンマークのウォズニアッキ選手(同 1位)。絶叫によって打球音がかき消され球速が読みにくいと。このトップ選手の異議だけではなく、観衆やテレビ視聴者からも苦情がきているそうで、テニス協会は苦慮しているに違いない。私も以前、シャラポワ選手の試合をテレビ観戦した際に何度もうるさいと感じた。記者は雄たけびもプロの個性として楽しみたいと結んでいる。前置きが長くなったが、今回はこの個性について考えてみようと思う。


個性とは

個々の人または個々の事物に備わっていて、他から区別させている固有の性質。

この言葉はよい意味にも悪い意味にも用いられることがある。“彼(彼女)は個性的だ”という場合、性質や性格が優れていることを意味する場合もあれば、変わり者であることを遠まわしに表現している場合もある。どちらにしても、比較対象が存在するから成り立つ言葉のように思える。

◆似たものばかりでは違いがわからない

先日、日本酒のきき酒会に行く機会があった。出品されている日本酒は県内の純米酒のみ74種。この中から15種程度試飲した。味の濃さの違いはなんとかわかったが、銘柄を当てることは不可能に近いと感じた。きき酒師としてのレベルが低いことは否定しないが、すべて純米酒ではなかなか難しい。醸造酒、吟醸酒が含まれていれば、もう少し違いがわかったかもしれない。

◆人それぞれの感性に依存する

10月半ば以降にテレビで放送が開始された『妖怪人間ベム』。昭和40年代に放送されたアニメの実写版で、40年の歳月を経て復活したということで、多少話題になっていたかもしれない。妖怪役を 3人が演じているが、その中のひとりの女優は乱暴な言葉・態度の裏側にある優しさを見事に演じている。幼少期を懐かしく思い出しながら、この女優の醸し出す雰囲気・演技を楽しく観ている。私はこの女優に魅力を感じるが、そうではない人もたくさんいるだろう。

自分らしく

いろいろ考えてはみるものの、個性とはやはり掴みどころのない曖昧な言葉である。しかし、他人と違うことをする、目立つことをするのが個性ではない。他と自分を比較する必要もない。好きなもの(こと)は好き、嫌いなもの(こと)は嫌い、でよいのだと思う。時には背伸びをしなければならない場合もあるだろうが、基本は無理に背伸びをせずに「自分らしく」。<M.K>


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