コラム

[2011/06/06] 第35回 シンプルに考える

東日本大震災の直後より、私達の生活は一変した。 豊かに暮らすための生活から生き抜くための生活を余儀なくされた。

食料を求め、ひたすら歩いた。断水のため、極度の節水生活に翻弄された。停電のため、漆黒の闇に恐怖した。日夜報道される鮮明な被災画像。現実とは思えない街の変貌。止まらない被災者数の増加。

突きつけられる情報は膨大で、その量と内容は自分の許容範囲を超えている。極度の心理的負荷で自分自身をコントロールできなくなった。

感情と精神のバランスを保つためには、物事をシンプルに考えたほうがいい。
物事を複雑に考えると、難しくて分かり難いうえに精神的な疲労が大きい。

シンプルに考えるとは、どういうことか?自分に問いかけてみた。
シンプルに考えるとは、物事の本質を捉え、あらゆる情報から取捨選択し、素早く決断し、行動に移すことではないだろうか。

物事の本質を捉え、決断するためには、外部からの情報が必要となる。
情報収集は、いつまで経っても止められなくなることがある。
決断するための準備・手段である情報収集が、目的にすり替わっているのだ。
情報収集が目的化すると、情報過多となり、価値ある情報が埋もれてしまう。
選択肢が多過ぎると、いざ決断するとき、人は何も選択できなくなってしまう。(これを決定回避の法則という)
情報収集の目的を自問し、目的から外れているものは、潔く切り捨てることも重要。

決断するということは、自分の考えを行動に移すことを意味する。
日常、私達は自分の決断に迷った時、周囲にアドバイスを求める。
周囲からのアドバイスは、正しい判断をする上で重要である。
気を付けたいのは、周囲からのアドバイスをそのまま自分の決断としないこと。
それは、あくまで他人の意見に流された決断であり、自分の決断ではない。

決断は早いほうが良い。
決断が早ければ、素早く行動に移すことができる。
完璧さを求め決断を長引かせるより、行動しながら決断内容を修正していくほうが、結果を導く近道となる。

シンプルに考え、素早く行動する。素早い行動は、結果への近道。得られた結果が、次の行動を誘発する。シンプルに考える習慣を身につけると、物事の本質を捉える思考プロセスが備わり、行動力がアップする。 <K.G>


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