コラム

[2009/10/12] 第15回 漢字が書けない…

最近、「中国の若者に広がる漢字忘れ」という記事を見ました。
パソコンの頻繁使用や読書不足により漢字の書き方を忘れてしまう現象は、おとなり中国でも同じようです。

私自身も例外ではなく、手書きでメモを取るとき、なかなか漢字が思い出せずカタカナで書いてみたり、なんとか思い出そうとしているうちに大事な話を聞き逃すこともありました。「年のせいか…」と、自分自身の記憶力に自信を失いかけていました。

漢字忘れの要因についてインターネットで検索していたところ、とあるサイトで脳科学者である池谷裕二氏の記憶力に関するコメントを発見しました。

<質問内容>
パソコンやケータイを使うようになって、「漢字が書けなくなった、電話番号を覚えられなくなった」といった話がありますが、情報機器を使うことによって記憶力が衰えるということはあるのでしょうか?

<回答(池谷氏)>
漢字を覚えるのにも時間がかかります。その時間を節約するために、人類はパソコンをつくり、漢字を覚えるのをパソコンに任せるようになったわけです。

その経緯を忘れて「昔は漢字を覚えていたのに忘れてしまった」と嘆くのはおかしいような気がします。漢字を忘れてもいいようにパソコンを使っているのですから、これは記憶が衰えるというのはちょっと違う気がします。

文字が発明されたときにも大騒ぎになったはずです。
文字というのも、紙に書いて残しておくわけですから、要するに外部記憶装置です。この意味ではパソコンと同じです。
文字がなかった頃は、レシピであれ、しきたりであれ、すべて覚えていなければならなかったでしょうが、文字が発明されたことで暗記するという作業が少なくなった。
そのときも、先にいわれた意味の「記憶力が衰えた」というようなことが起こったはずでしょう。でも、それが人類にとって悪いことだったかというと、そんなことはない。文字がなければ困るわけです。

文明の進化になぞらえて漢字の書けない理由を紐解いているのが興味深かった。
人間の脳が忘れやすいからこそ、紙と鉛筆という道具が生まれ、忘れないように紙に書き留めるようになった。そうした道具が進化してパソコンが登場した。

パソコンで文章を入力するにも、読み方がわからなければ、その漢字を入力することはできない。漢字を書く機会が減ったとしても、読み方を覚える機会は確実に増えている。「書けない、けど読める」パソコンの登場により漢字スキルが変わってきているのかもしれません。

それでも、漢字が書けなくなっているのは事実。いざという時、恥をかかないよう、自分向けのメモ・備考録などは手書きしようと思う今日この頃です。 <New Face k.g>


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